page 3/3 Recipe
Harder, Better, Faster, Stronger
そして、さらなる実験がはじまった。ここからはぼくが一人、仕事の後や休日にひたすら試行錯誤し、よりよいレシピを探したのだ。
紫キャベツの汁に重曹を足すと、アルカリにアントシアニンが反応して紫色が青色に変わる。
ただ、このままだと
- 色が青すぎる
- 味がキャベツの汁に、すこし塩を足した味(重曹はややしょっぱ苦い)で飲み物として成立してない
という問題がある。で、ここに白色を加えていくのだが、問題は何を加えるかだ。ためしにいろんな食材を調べてみたが、その多くが酸性で、まぜても色が紫(や赤)色に戻ってしまうことがわかった。もちろん、さらに重曹を加えてpHをアルカリにすれば色も戻るが、重曹が入りすぎるとまずくて飲めなくなる。
で、結論を言うと、牛乳を入れるのがいちばんよかった。牛乳は少し酸性だが、少量の重曹できちんと青色に戻る。しかもキャベツとの味の相性もなかなかだ。(ちなみに、豆乳は中性で色が変化しない利点があったが、豆乳の味が強すぎたので今回は見送った。)
さあ、これで#c0ffee色はできた。しかし、なんだか味がものたりない。一味足りない気がするのだ。だがこの課題も、みごとgoogle様のお導きによってソリューションが得られることになる。
×7の魔法
キャベツの煮汁には、アントシアニンのほかにグルタミン酸という、うま味成分が入っている。ようは野菜のダシのことで、ポトフなんかもこのうま味のおかげであのやさしい美味しさになってるわけだ。
そしてこのグルタミン酸、じつは動物系のダシであるイノシン酸と混ざると、7倍ものうま味に変化するらしいのだ。なにそのミラクル!
その魔法を実現する食材に、煮干しを選んだ。煮干しは「水出し」という方法を使うと、魚臭さがなくなって澄んだ味の美味しいダシがとれる(とネットで教わった)。実際に何度か試してみて、かなり味のしっかりした、軽めのスープのような#c0ffeeができあがった。
というわけで、紫キャベツ、牛乳、煮干し、重曹でつくる#c0ffeeのレシピが、とうとう完成だ。
#c0ffeeのつくり方
おまたせしました。いよいよ#c0ffeeのレシピ発表です。
さらに、動画でも。
水出しだと一晩かかるが、手間はそんなにかからない。コーヒーというよりスープに近い味だが、ホットでもアイスでも楽しめるので、まさにコーヒー的に気軽に飲める。
そして驚きの栄養価
もともとこの企画は、「#c0ffee」という、webで使われるカラーコードの色の飲み物をあみだして、web界隈の人々用のコーヒー的飲み物をつくろう、という趣旨だった。で、できたコレの栄養をいろいろ調べると、実は今回の立役者アントシアニンが、目の疲れによく効く、ということがわかった(目にいいと言われるブルーベリーの紫色も要するにこのアントシアニン)。おお、まさに長時間ディスプレーをつかうweb屋さんにピッタリの飲み物じゃないか!
わりと苦労したが、いいオチもつき、うまれてはじめてレシピを創作できて満足だ。今回も実験を手伝ってくれたゆあさん、はまねえ、カイラー、そしていろいろアドバイスをくれたみなさんにも、深くお礼申し上げる。ありがとう。
新しい飲み物#c0ffee、ぜひみなさんもつくってみてください。