page 1/2 一日目
ビンゴの理由
韓国旅行に行くことになった。よく訪れている韓国通の友人いわく、その一番の魅力は「食いだおれ」にあるらしい。かの地には美味しい食べ物がたくさんあるんだそうだ。
でもぼくの個人的な経験からすると、旅行先で食べるものは、その場では「美味しい!」とは思うものの、何を食べたかなどあまり気にしないし、感動もすぐ忘れてしまう。それだともったいない。
そこで、韓国の食べ物を使ったビンゴゲームをやってみることにした。美味しくて楽しめて、しかも学ぶこともできる。せっかくの韓国での食事なんだから、3倍楽しむのだ。
ビンゴの準備
まず、韓国通の友人にメジャーな韓国食をあげてもらい、そのハングル表記と発音をリストにする。焼肉から飲み物、お菓子まで網羅した(らしい)40種類のメニューをシャッフルし、ビンゴカードに書き込む。シャッフルと5×5の配置はパソコンにさせたが、ビンゴカードはマス目が空白のものを買ってきて、ペンで書きこんだ。
ビンゴの方法
ルールは簡単。食べたり飲んだりしたものが自分のビンゴカードにあったら、そのマスを空ける。一列揃ったら大きな声で「ビンゴ!」。
今回の旅行は金曜夜から日曜早朝までの2泊なので、スケジュール的には食事のチャンスは土曜の朝昼晩の3回となる。でも、ビンゴチャンスはこれだけに限らない。途中でオヤツや飲み物を買うこともあるだろうし、屋台で買い食いできるメニューも入っている。
ただ、問題はマスに書かれたメニューの内容がわからないことだ。「김치 (キムチ)」はわかるが、「번데기(ポンデギ)」ってなんだっけ?なんだか美味しそうな語感だけど。「고구마튀김(コグマティギム)」なんてきいたこともない。子ぐま?グロいものだったらどうしよう。。とにかく、店や街中で目を凝らし、カードに書かれたハングル文字を探してまわるしかないのだ。
ビンゴの開始
出発の日の夕方。成田空港に集合した参加者に、ビンゴカードを一枚ずつ配る。(現地集合の人にはソウルについてから配布した。)
ソウルについてすぐ、空港内のコンビニへ向かう。一人がめざとく、「맥콜(メッコール)」という炭酸飲料をみつけた。これを買い、何人かがさっそく最初のマスを空ける。
普通、ビンゴゲームは完全な運まかせで、努力が実を結ぶことはない。でも、この韓食ビンゴは、飲み食いすればするほど、勝利に近づく。参加者はこのことに気づき、俄然テンションをあげていった。つまりムキになった。
ホテルに到着したのは深夜1時を過ぎていたが、夜食を食べに出る。スケジュール外で1食増えたので、ここは効率よく稼ぎたいところだ。
店のおばちゃんが「これならある」と言ってる(ように思えた)ものを、かたっぱしから注文する。どんなものが出てくるのか多少不安になりながら、待つこと数分。おばちゃんがビンゴカードの「오뎅(オデン)」を指さしながら鍋を持ってきた。オデンってもしかしていわゆるおでんのことかな、と思ったが、微妙に違っていた。薄くスライスした練りモノが長い串に刺さった料理で、味付けも日本のおでんとは別物だったが、ダシが効いていて酒がすすむ美味しさだった。